2007年2月28日
小さな決意と小さな勇気と小さな冒険心から
本当に小さな小さな団体が、この西宮の地に産声をあげました。
そこには野心や欲望などはなく、
ただひたすらに「まちと楽しく共存し、かつそれを仕事にしたい」
そんな想いしかありませんでした。
最初は対面でおでこがくっつくほどの小さな小さな部屋に、
私と副理事長である増馬が右も左もわからぬまま
座るところから始まりました。
そして、5年。
仲間が増え、助けてくれる方が増え、
皆さんの愛と優しさに甘えながら、頼りながら、
愚直に進んできた5年でした。
私が「NPO法人で働きたい」と家族に告げた時、
反応は「それ何?」でした。
『自らがオピニオンリーダーになることで
「業界」が変わる分野はそれほど多くない。
「株式会社」のルールを変えることなんてできる力はないけれど
「NPO」なら「まちづくり」なら、想いがある。
変えることができるかもしれない。』
20年先のNPO数が数え切れない程に増え、
若者が働きたい仕事NO1になれば楽しいだろうなと思いましたが
世の中にそんなNPO法人はとってもとっても少なくて、
うさんくさいところが多くって、いたたまれなくなって、
新しい考え方を導入したNPO法人を設立しました。
新しいから苦労ばかりです。
でも、痛みを伴う変革は確かな未来を描くはずだと信じています。
皆さんにこれだけ支えてもらっているのですから、
途中で逃げ出すわけにはいきません。
私がこれまで積み上げてきた仕事たちが
唯一無二の答えじゃないのは当然で、
10年続ければトレンドは変わります。
トレンドが変わっていくのか、
自分たちの考えることが変わっていくのかは
わかりませんが、今のままではいられないのは確かです。
今の私が目指すまちの将来の姿を言葉にすると、
『地域は若者に「求められれば手を差し伸べ」、
若者は地域に「尊敬する諸先輩方に足りないものを
きちんと伝える技を磨いてほしい」』
双方が敏感に反応しあう「センスのよい距離感」が大切で、
心ゆたかに暮らしたいなら、
それが職場であっても、住んでいるまちであっても、
その地域のHAPPYのカタチに協力する人でなければならず
そう思える場所を創るお手伝いをしていきたいと、
ずっとずっとひそかに思っています。
ちょっとした努力で「まちのテーマ」が動き出したら・・・・
私は飛び上がるほど嬉しいに違いないと思うのです。
去年の秋、ヨコハマトリエンナーレ2011に行ってきました。
入口入った直ぐのところにあった作品。(写真)
尹秀珍(イン・シウジェン)さんという人の作品で
《ワン・センテンス》というそうです。
この作品は、仏教における煩悩の数108に因んで、
年齢、性別関係なく108人に提供してもらった服や靴下といった布を
素材にして作られているそうです。
集められた素材を帯状に切って、それをコイルのように巻いて、
映画のフィルムケースのような容器に隙間なくぴっちり詰め込んで、
並べられていました。
完結した一つの文章(ワン・センテンス)のように、
それぞれが、一人の人間として自律した個として在る、
という姿を示そうとしているそうです。
こみさぽも、一人一人の個が、自律した個として在り、
そのひとつひとつが完結したワン・センテンスであり、
でもそれをつなげると、美しい文章になるような
そんな団体で、
また5年。
皆さんと共に過ごしていけたら幸せだと思います。
何もできませんが、何かあったら思い出す。
皆さんの頭の片隅にずっと残り続けていけるように精進します。
今後とも、よろしくお願いします。
最後になりましたが、5月下旬におっきなホテルで
5周年記念式典を開きます。
本当はこの5年間でお会いしたみなさん全員をお呼びしたいけれど
そういうわけにもいきません。
招待状が届いた皆さんは、にやにやしながら
私たちの七五三のような晴れ姿を見に来てやってください。
少し照れて、もうあと5年後にしか見ることができない表情で
お待ちしています。
東 朋子